わたしだけを見てほしいのに
「私は、もっと前から
悠斗くんが好きだったよ。」

私の声は涙声だった

つい、言ってしまった
でももう、止められなかった

「ホントに?」
「うん。」

顔をあげて
目の前の悠斗くんを見つめた

「悠斗くん好き。」

悠斗くんのきれいなまつ毛が
目の前にあった

「俺も好き。」

私は目を閉じた
唇が優しく塞がれる

それは
私のはじめてのキスで
悠斗くんに心を許した瞬間だった

その時の私はまだ
これから深く
たくさんの知らない感情で
心が蝕まれてしまう事になるなんて
思いもよらなかった
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