- π PI Ⅱ -【BL】
それでも……
「イルカLOVE♪なんて可愛いんだ…」俺はイルカの大きな水槽の前に張り付いて、顔を輝かせた。
平日だからあまり人も居ないし…
意外と男同士で来てるヤツも多い。
中には4人組みの男たちが居て、俺はそいつらに写真を頼まれた。
手渡されたカメラで写真を撮ると、
「ありがとうございますー。そちらも撮りましょうか?」と聞かれ、
「いえっ。カメラも持ってきてないし」なんて慌てて手を振る。
「撮ってもらおうぜ?せっかくだし♪」と言う周。いつのまにか、どこからかスチャっとデジカメを手にしていた。
どこから出すんだよ。お前のポケットはドラえもんの四次元ポケットか??と心の中で突っ込むも、
撮影OKの場所まで周に引っ張っていかれる。
お気に入りのイルカの水槽の前で、俺はぎこちなく笑顔を浮かべた。
だって周と写真撮るのなんて、これで二回目なんだもん。
しかも男同士だし?
恥ずかしいのやら、照れくさいのやら。
だけど4人グループの男たちは何も気にせずに、写真を撮ると賑やかな話を振りまいて行ってしまった。
「ってか違和感なし?あの人たちはダブルデートかな…」と今までなら絶対考えられない考えが浮かぶ。
「いや。ヤツらは全員ノンケだ。この水族館は雑誌で紹介されるほどの有名スポットだし、単に遊びに来ただけだろ」と周はさらり。
ノンケ……
「ってか分かるのかよ」
俺は疑り深い目で周を睨むと、
「当たり前だろ?俺ぁ鼻が利くんだ」なんて鼻をひくつかせる。
何か……こいつの嗅覚はいろんな意味で人間離れしてるな。