- π PI Ⅱ -【BL】


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――

「水族館もなし!部下を勝手に家に入れるし、挙句の果て“最中”に電話だと!?

ふざけんな!」


三好のアパートでビールを飲みながら、例の如く俺は荒れていた。


「最中に電話…そりゃまた…なんて答えればいいのか…」


三好が目を丸めて、ちょっと顎を引いた。


「いい。何も答えるな。って言うかあいつに多くを求める俺が間違っていた」


俺は手を上げて、三好の言葉を止めた。


はぁ、とため息を吐きながら机に肘を乗せると、向かい側で三好が珍しそうに目を細めていた。


「でもお前がそこまで怒るなんて珍しいよな。桐ヶ谷は毒舌だけど女には優しいからな、意外っちゃ意外だ」


ええ…女(刹那さんを除いて)には優しいですよ。しかも毒舌って、随分はっきり言うじゃねぇか…


って言うか相手女じゃねぇもん。


「まぁ、でもいい傾向じゃないのか?独占欲も愛情の一つだし、それに言いたいこと言える仲ってことだろ?ちゃんと話し合ったら、理解し合えるって」


三好……


「お前…ほんとイイヤツだな…」


またもじーんと来て勢い込むと、三好はちょっと驚いたように体を後退させた。


「ああ、まぁとりあえず、今日は飲もうぜ。飲んで喋ったら少しはすっきりするさ」


とビールの缶を持ち上げて、三好は苦笑いを漏らした。


その後三好に愚痴をこぼしながらも、二人でビールを飲み11時を過ぎる頃にはシャワーを借りた。


三好の言う通り、誰かに話すとそれまで溜めていたものが少しだけ和らいで、ついでにシャワーで身も心もすっきりとし風呂を上がった。


バスタオルを腰に巻きつけて、脱衣所からちょっと顔を出しながら、


「三好~…悪いけど、ドライヤー貸して?」と問いかけると、


まだビールを飲んでいた三好はごくりと喉を鳴らして、びっくりしたように目を開いた。





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