ファンファーレに想いを乗せて


ふと、廊下に目を向けると彼は、いつからこっちを見ていたんだろう。視線が絡まった。


笑いかけてくれる姿は、どこにもない。
キラキラと輝いた笑顔を見せてくれることもなく、ただ、じっとこちらを見つめる彼の視線にどうしようもなくなり、俯いた。


もう、彼の隣にはいけないんだ。
もう、笑顔を見せてくれることもないんだ。


そう思うとじんわりと目頭が熱くなるのが分かり、誰にも見られないように、そおっと目から溢れてきた涙を拭った。


< 135 / 224 >

この作品をシェア

pagetop