きみ、ふわり。


 俺も帰ろう。
 もちろん一人で。


 最近になって、どいつもこいつも告ったり告られたりで彼女ができ、一人での下校が当たり前になっていた。

 誰かと一緒に帰りたいとか、そんな気色悪いことは考えたこともない。
 女子じゃあるまいし。

 寂しいとかそういう感情も、俺にはない。


 けど、何故か今日は一人で帰ることが、少しだけ面白くなかった。


『あの子と?』

 悠斗があんなこと聞くからだ、チキショー。



 昇降口を出たところで、「瀬那くん!」と背後から大声で呼び止められた。
 振り返れば、ものすごい形相をした栗重が、上履きのまま駆け寄って来る。


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