きみ、ふわり。


 けれど、足りない脳ミソを駆使した甲斐あって、その効果はてき面だった。


 我に返ったようにハッとして、紗恵は大慌てで傍らにあった布団を手繰り寄せた。
 そうして両手で首元まで引っ張り上げる。

 これで前面は隠れたが、後面は未だ全開だ。
 けどようやく俺の視界が確保された、とホッと一安心。

 心に安らぎが戻った。
 女子の全裸がこんなにも刺激的だとは知らなかった。


 見慣れていると思い込んでいたけど、そうじゃなかった。

 多分、俺……
 今までは行為そのものに夢中で、あんまり相手の身体は見ていなかったんだ。

 違うかな、相手自体も全く見ていなかった。
 単なる『性の対象』でしかなかった。


 最低だな、俺。


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