この恋、まだ間に合いますか?
先生が北海道に帰ってしまうと聞いてから、講習もないのに予備校に行ってしまう。

普段、先生は週に4日くらいはいるけど、北海道と行き来しているからか週に2回会えれば良い方になっていた。


「藤野さん。これ廣田先生から特製の問題集預かってたから。」

サブの木村先生から渡された冊子。

『藤野優紀さん専用問題集』

少しだけ角ばった特徴のある字が表紙に書かれていた。

…廣田先生の字だ。


「藤野さんならきっと志望の大学に行けるだろうって言ってたわよ。」

他の先生にそんな風に話してくれていたなんて、なんか嬉しいな。


「担当が変わって藤野さんも大変だと思うけど、廣田先生もご実家の会社を継ぐためにいろいろ忙しいみたいだから、分かってあげてね。」

「はい。」

廣田先生には廣田先生の事情があるのは当然のこと。

だけどやっぱり最後まで廣田先生に教えてもらいたかったと思うのは私の我儘なんだろうか。
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