この恋、まだ間に合いますか?
本番前の1週間は、廣田先生が私専用に作ってくれた問題集で勉強していた。

冊子の所々に先生からの応援メッセージが書いてあって、それを見るたびに頑張ろうって思える。

先生に良い報告が出来るように、最後の最後まで頑張ろう!



『今までの自分を信じて、力を出しきって下さい。優紀ちゃんなら大丈夫だと、僕も信じています。』

試験前日に届いたメール。

心がじんわりと温かくなるのを感じる。


きっと忙しいのだろうと思いつつ、どうしても声が聞きたくなって、初めて先生に電話をしてみる。

プルルル…

呼び出し音に、緊張する。


『…もしもし、優紀ちゃん?』

「はい。…あの、今大丈夫ですか?」

笑った気配がする。

『平気だよ。…緊張してる?』

「えっ?」

『声が弱々しいからね。深呼吸してごらん?』

いつもより数段優しく聞こえる先生の声。


『明日も緊張したら、深呼吸してみると良いよ。落ち着いて解けば、必ず合格できる!』
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