みつめていたい【短編】
なんて寝つきのいい人なんだろう。

部活か何かで疲れてるのかな?


私はゆっくり正面に向き直ると、呼吸を整え、気持ちを落ち着かせた。

それから、彼を起こさないよう、なるべく動かず今の体勢をキープし、彼の枕としての役割を果たすことに決めた。


私はこの寝顔のためだったら、何でもしてしまう自分を、ほんとに馬鹿だなぁって思う。

だけど、私はそれで幸せな気持ちになっちゃうんだから、仕方ないよね。



私たちを乗せた電車は、すぐに隣の駅に到着した。

向かい側の扉がぱっくりと開いたけど、彼が起きる気配はなくて。

当然、枕の私は降りることができなかった。


だけど、そんなことはもうどうでもよくなっていた。
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