みつめていたい【短編】
8.彼がいない
手紙を渡した翌週、朝の通学電車に彼の姿はなかった。


試験期間中だから早めに学校に行く、とか、そういう理由でもない限り、振られたと考えるのが妥当なんだろうな。


最初から玉砕覚悟のつもりだったけど。

振られるにしても、こんな形じゃなくて、彼の口からはっきりと答えを聞きたかった。


馬鹿な私は、まだ心のどこかで諦め切れず、毎朝電車で彼の姿を探してしまう。

彼がいないことを確認しては、悲しい気持ちになるだけなのに。


こんなにも彼のことを好きだったなんて、知らなかったよ。
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