みつめていたい【短編】
何度読み返しても、全く頭に入ってこない問題文から目を離し、諦めて机に伏したところでチャイムが鳴った。


期末試験最後の科目は、一番苦手な数学だった。

配布された時と、さして変わらない白さの解答用紙を提出し、赤点なんだろうなぁ…と思うと自然とため息が漏れた。


「どーだった?」

背後から、がばっとスズが抱きついてきた。


「全っ然ダメ。スズは?」

「あたしも微妙なとこだけど、もういい……。とにかく終わったー!」


私と違って、スズはすっきりとした表情をしている。

スズの気持ちの切り替えの早さを、私はいつも羨ましいなって思う。


「おなかすいたー。何か食べて帰ろ」

斜め前の席から、余裕の表情を浮かべたあっちゃんが言った。
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