みつめていたい【短編】
私が躊躇しているのを横目に、あっちゃんは彼に微笑みかけると

「ごゆっくり」

と言って、スズと一緒に駅に向かって歩き出した。


二人の後ろ姿を見送った後、今度は彼が

「行こう」

と言って、私の手を掴むと、駅とは反対の方向にすたすたと歩き始めた。


「あああ、あのっ、どこ行くの?」

彼は前を向いたまま答えた。

「落ち着いて話せるとこ」


ってどこ?


行く先もわからないまま、私は彼に手を引かれて歩きはじめた。
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