エリート医師の溺愛処方箋
「気を付けて」
それだけ言うのが精一杯だった。
「うん」
彼はそっと腕を解くと、クルリと私に背を向けて迎えの車に乗り込んだ。
――――それから三時間後の事だった。
医局に掛かってきた一本の電話。
応対した菅野ドクターの顔色が変わる。
「…え。
医局長が……車体の…下敷きに?」
私は…泣く事も出来ずに…ただ、菅野ドクターの声だけが、
頭にこだましていた。
……千尋……?
どうして。