9日
やっと、だいたい志望校は決まった。
女子校のN高校。
そろそろ最後の文化祭が近づいてきた。
文化祭と言っても発表と展示と合唱くらいしかやらない、ショボい文化祭だけど。
私のクラスB組は体育祭で優勝を目指してたのに、惜しくも準優勝だったから合唱こそは金賞とりたかった。
とるつもりだった。
でもD組がすごくうまくて、結局D組が金賞だった。
岡田先生の喜ぶ顔が見れたから、まあ良いかな。
文化祭終わるとテストや面接練習とか勉強のことばかりで本当に嫌だった。
N高校は大学附属だから大学のことまで知らなきゃいけないし、面接やPR書に将来の夢について答えなきゃいけなかったから、夢に悩んでいた。
将来の夢を決めなくちゃ!
でも夢なんてなかった。
大人になりたくなかった。
なりたいものがなかった。
また岡田先生にお世話になった。
放課後、岡田先生になぜ先生になったのかを聞いてみた。
「岡田先生はなんで先生になろうと思ったの?」
意外と些細なことだった。
岡田先生「俺の母校のテニスコートの横を歩いてたら、テニス部に声かけられてな。
俺もテニス部やったから後輩になんだけど教えてほしい言われて教えてやったんよ。
その時、まだ26やったんけど教える仕事もええな思って、ちょうど無免許で1年間教職の仕事募集しててさ。
それやって、教師ええやんって俺世界とか一人旅好きやろ?それ生かそうって社会にして29で免許取ったけん。
大阪と神奈川の採用試験受かったんけど名前の響きからして神奈川だろ!って思ってすぐに決めたね。」
もし大阪を選んでたら出会わなかったんだ。
そう思うとやっぱ奇跡とかなのかな~。
私は岡田先生と相談している時、泣いた。
岡田先生「今すぐ決めなあかんことやないし、まだ時間あるからゆっくり決めな。また聞かせて?」
なんて良い人なんだろう。
嫌な顔せず相談にのってくれて、むしろ「また聞かせて?」なんて言ってくれて。