心の奥まで覗いてよ【仮面de企画】
「あ、昨日小物類が新しく入ってきたから、遠慮なく見てくださいね。
試着はどんどんしてもらってかまいませんから!!」
笑顔で応対してくれる、ヒゲ面の店長さんに、その隣でニコニコ笑う女の優しそうな店員さん。
いいな…。
こういうお店は、伸びる店だ。
接客業は人が人を呼ぶ職業だから、店員の雰囲気がよくないと、お客さんは居心地が悪くて長居をしたくなくなってしまう。
どんなお客様でも大切にする姿勢を見せられるお店は多いようで、意外と少ない。
う~~~ん。
同じ接客業として、こういうところは見習わなきゃなぁ……。
このお店の居心地のいい雰囲気に感心しながら店内をブラブラしていると
「…決めた。」
アルフレードはそう言って
鋭い笑みを密やかにこぼす。
――え!?何!?この悪い顔!!
初めて見せた彼のキケンな表情に驚いて、私のお目目は見事にまん丸。
そんな私を見つけると、彼はあっという間に良い子の仮面をかぶってこう言った。
「ゴメンね。
行こう?ヴィオレッタ。」