断崖のアイ

　その夜──モリス神父と無言のまま質素な食事をし、眠りにつく。食事中、彼は何か話したげにしていたが昼間のやり取りがあったため気まずいのか、視線をチラチラと送るだけでひと言も口に出す事は無かった。

　明日の闘いに備えて早めにベッドに潜り込んだが、なかなか寝付けない。これは緊張なのか武者震いなのか……正直に言えば、実戦を初めて経験する事に期待しない訳ではなかった。

　とにかく寝なくては、と切り替えて深呼吸し目を閉じた。

　朝になり準備を整える。

「……」

　少し考え昨日と同じ服装にして厚手のベストを合わせた。特殊な繊維で編まれたベストはナイフの刃だけでなく、一般的なハンドガンの弾丸も通さない。

　ロッドやその他の武器を見えないように装備して教会を出ると、ヘインズが車で待っていた。

「街の外れ近くにいるようです」

「そうですか」