彼女はきっと振り向かない



「もしかして、お前「言わないで…っ」


俺の声を遮る七尾はさっきの強気を微塵も感じさせないほど、弱々しかった。



「…このこと誰にも言わないで」




「…ああ」




俺はいたたまれなくなってカーディガンの袖口で彼女の目元を拭った。


「え…」


びっくりしていたのは彼女より、俺自身だ。



< 49 / 78 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop