彼女はきっと振り向かない


女の涙を拭ったことなんてあったっけ?
反射的に体が動いた。



「戻るぞ。そんな顔してたら俺が泣かしたと思われる」


「なによ、それ」


俺は立ち上がり、歩き始めた。

後ろで七尾が俺に続くように立ち上がって歩き始めたのがわかった。


俺たちは無言だった。




彼女は、廉のことが好き。



ほんの少し胸の奥が熱くなった気がした。




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