シュガー*エッセンス(加筆修正中)




思わず、泣きたくなった。


こんなに一音一音、綺麗に呼ばれた“愛奈”は初めてで。

宝物のように、センセーは“愛奈”って呼ぶから。



初めて、名前を呼ばれたような気がしたんだ。



「…いいよ。」

『……。』

「俺の前では本当の“愛奈”でいいよ。」




―…先生は昔からずっと、優しい人だった。




『…っ、意味わからない!』




子供のように、とめどなくボロボロ溢れ出す涙。


先生はあたしの尖った声なんか聞こえていないかのように、自分のパーカーの袖であたしの涙を拭う。



「…ったく愛奈は。

そんなビービー泣かなくてもいいじゃないか。」

『……。』



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