異本 殺生石
タイムパトロールの男は大きな封筒のような紙の包みを頭の上高く捧げ持ち頭を下げた。
「ありがたき幸せ。必ずや不埒な妖狐を退治して参りましょう」
「うむ、下野の国守にはすぐに早馬で正式な追討の院宣を出す。それで、その者たちをどうすると?」
どうやら陽菜たちの事らしかった。タイムパトロールの男が言葉を続ける。
「ともに下野の国へ連れてゆきとうございます。あの者たちも妖孤にたぶらかされていたのであれば、退治を手伝いたいと申し出まして。それに、あの妖狐に関わりがある者たちをこのまま院の近くに置いていくわけにもまいりますまい。万が一という事も考えると、われが同道した方がよろしいか、と」
「よい、そなたに任せよう」
「では、さっそく旅立ちまする。これにて御免」
タイムパトロールの男は扇子を取り出して例の立体コンピューターを起動させ、周りに大声で言った。
「怪しげな物がまた出て参りますが、これはわれの使役する式神にございますれば、ご心配召されぬよう」
数秒後、院の庭園にまたタイムマシンが出現した。形はフーちゃんの物と同じだが、色がこちらはメタリックブルーだ。騒然とした院の武者たちをなだめながら、男は陽菜たちをタイムマシンの操縦室に入らせた。
男が操縦席に座り計器を素早く動かす。すぐにタイムマシンは巨大な機体を空中に浮かび上がらせ、次の瞬間にはもう時間航行空間に突入していた。
「ありがたき幸せ。必ずや不埒な妖狐を退治して参りましょう」
「うむ、下野の国守にはすぐに早馬で正式な追討の院宣を出す。それで、その者たちをどうすると?」
どうやら陽菜たちの事らしかった。タイムパトロールの男が言葉を続ける。
「ともに下野の国へ連れてゆきとうございます。あの者たちも妖孤にたぶらかされていたのであれば、退治を手伝いたいと申し出まして。それに、あの妖狐に関わりがある者たちをこのまま院の近くに置いていくわけにもまいりますまい。万が一という事も考えると、われが同道した方がよろしいか、と」
「よい、そなたに任せよう」
「では、さっそく旅立ちまする。これにて御免」
タイムパトロールの男は扇子を取り出して例の立体コンピューターを起動させ、周りに大声で言った。
「怪しげな物がまた出て参りますが、これはわれの使役する式神にございますれば、ご心配召されぬよう」
数秒後、院の庭園にまたタイムマシンが出現した。形はフーちゃんの物と同じだが、色がこちらはメタリックブルーだ。騒然とした院の武者たちをなだめながら、男は陽菜たちをタイムマシンの操縦室に入らせた。
男が操縦席に座り計器を素早く動かす。すぐにタイムマシンは巨大な機体を空中に浮かび上がらせ、次の瞬間にはもう時間航行空間に突入していた。