ヰタ・セクスアリス(vita sexualis)物語

・ほどける糸

自分の部屋のドアがノックされた事は分っているが声を出す気力も置き上がる根性も今の純には無かった。

返事が無い事を気にする事も無く部屋の扉はゆっくりと開かれて、純の父親が笑顔を押し殺して顔だけ部屋の中に入れるとしたり顔でこう尋ねた。

「二日酔いか」

純は何も応えなかった。

「うっさいな……一人にしておいてくれよ」

ぼそぼそと呟く様に言う純の態度を気を抜くと爆笑しそうな気分を、ぐっと堪えて父親が更に続けた。
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