ヰタ・セクスアリス(vita sexualis)物語
■第2話 人妻物語

・年上の人

「純君、洗濯物出してね」

茜は純の部屋の扉をノックしながら彼の部屋に入り込む。日は既に真上のあたりだったがカーテンが閉められて、部屋の中に外の空気の爽やかさは無かった。

「まったくもう、だめよ、ちゃんと片付けないと」

言葉とは裏腹に茜は本気で怒っていると言う様子は感じられない、むしろ楽しそうな表情だった。

「――ほらもう、ビンテージ物じゃぁ無いんだからジーンズだってちゃんと洗わないと……もう」

薄暗い部屋の中、茜は無造作に床に放り投げられたジーンズを拾い上げた時、ポケットから何かが落ちた事に気がついて、不思議そうにそれを拾い上げる。
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