ヰタ・セクスアリス(vita sexualis)物語
しかし……

リビングの大きな窓から部屋の様子が見えた。

そこに居たのは微笑む裸のしのぶだった。

そして、窓から漏れ出るフラッシュの光に合わせて浮かび上がるしのぶの笑顔。

その笑顔には一点の曇りの無い……純には見せた事の無い笑顔だった。

全てを察した純はゆっくりと、その場を後にした。そして逃げる様に迷路を駆け抜ける。

涙が溢れて来る、そして思った。この迷路で迷子になって居たのはしのぶでは無い自分自信だったのだと……頬を涙が濡らす。

それは少年時代との決別の涙だったのかもしれない。


少年物語 End
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