空しか、見えない
「これ、昔、義朝がよく持ってきてくれた奴でしょう。お母さんの手作り」

 と、フーちゃんは涙ぐむ。

「そんな心境じゃなかっただろうにね」

 マリカの声に、千夏は黙って手を伸ばす。さっさと自分で包みを開いて、口に含み、続ける。
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