空しか、見えない
「No」

 のぞむは不安気に答える。何も覚えていないのだ。

「OK! とにかくここは集中治療室だ。君は、絶対安静、飲食も禁止で、じっとして。もうじきドクターの回診があるから、それまでは、ひたすら待つようにね」

「What’s? 絶対安静って、何だよ、俺、どうしちゃったんだ?」

 のぞむは呟くが、看護師は慈愛に満ちた笑みを浮かべ、また病室の外へと足早に出ていった。

「まったく、どうなっちまんだろう、俺」

 のぞむは今度は日本語で、そう呟いていた。
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