空しか、見えない
 Pancreatitis、と口にされて顔をしかめていると、医師はタブレット型のPCで日本語を選択し「膵臓炎」の文字を示してくれた。

「1週間も、ですか?」

 ドクターは、首を横に振る。それで済んだのを幸運に思わなくてはいけないということなのだろう。

「今は薬で痛みもコントロールしているけれど、激痛があったはずだよ。もっと前から、背中や腰の辺りに重たい痛みがあったはずだが、どうだったかな?」

 のぞむは、頷く。確かにそうだった。だというのに、岩井海岸でもずいぶん酒を飲んだ。サチの家でも、義朝の彼女のバーでも、やたらと飲んだ。痛かったから、飲んで紛らわせようとした。飲んだら痛みも癒えるかと思っていたのだ。
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