空しか、見えない

「ほら、やっぱり、サセからだったよ」

 千夏は、駅前の賑やかなショットバーにいた。
 目の前でジンバックの入ったグラスを空けている長身の男の着ている革のジャンパーが、動くたびに衣擦れの音を立てている。ルーズに伸びた髪を耳にかけて、千夏を見下ろして、微笑む。
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