かくれんぼ - 大人になりきれない大人たち -

私の手をすり抜けて、床へとへたり込む大地。

私は慌てて大地の体を抱き起こした。


「大地、大丈夫?」

「うん?」

何事もなかったように私の手を握り返す大地。

「ママ? はやくトイレ~」

「あ、そうだね! ごめん」




今の感覚は何?

まるで全身の力が抜けたみたいな大地の姿に、私は愕然としてしまった。

進行や緩やかだけど、徐々に下肢から不自由になっていく。

それはお医者さんに何度も説明されたこと。

だけど

目の前でそれを実感してしまった私は、言いようのないショックに襲われてしまう。






「…く? 美来?」

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