かくれんぼ - 大人になりきれない大人たち -

「何だかんだ言って、大地の父親はあの人だけだから」



私はそう言って正紀のほうを振り返る。

そこには悲しい目をした正紀の姿。

もう正紀の顔を正視できないよー…。











『1番線に上り列車が参ります…』


駅員のそんなアナウンス。

しばらくして、ホームに上りの電車が入ってきた。




「ほら、正紀。行かなきゃ!」


私は笑顔で正紀の背中を押す。

電車のドアを挟んで向き合った私たち。

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