かくれんぼ - 大人になりきれない大人たち -
私たちの間にあるドアが冷たい音を立てて閉まる。
「正紀…」
これで最後なんだと思ったら、堪えてた涙が溢れ出した。
正紀はドアに両手を当て、何かを言ってる。
" 美 来 "
口の動きからして私の名前を呼んでるみたい。
やがて ゆっくりと走り出した電車。
私はこぼれる涙を拭いて、精一杯の笑顔で大きく手を振る。
「頑張れ、正紀!!」
私のその声は電車の音にかき消されてた。