かくれんぼ - 大人になりきれない大人たち -
歩き出した私の腕を、正紀がグッと引っ張る。
「そんなフラフラで歩いて帰れるの?」
「…っ」
「美来って今も実家?」
「へ?」
「車で送るよ。待ってて」
正紀はそう言って車のキーを取り出す。
「何言ってんの? 飲酒運転する気?」
「俺は下戸なの! 1滴も飲んでねーよ」
「う、うそだぁ!! さっきあんなに酔っ払って…」
「ああ? 俺はいつもああだから」
私はその言葉に絶句する。
あのハイテンションがシラフだなんて。
驚きを通り越して、何だか可笑しくなってきた。
「どうする? 乗るの?」