かくれんぼ - 大人になりきれない大人たち -
「美来? 元気そうだな」
「お父さん…」
玄関先に姿を現したのは私の父親、誠二。
逃げる間はなかったみたい。
「会うのは何度目かなのに、大地がちゃんと覚えててくれたんだよ」
上機嫌そうにそう言う父親。
「やっぱり おじいちゃんだからね。美来、今日はお父さんが面倒見ててくれたのよ」
「…どうも」
「美来、顔色悪いんじゃないか? 仕事と育児で無理してるんだろう?」
「大丈夫だよ」
「美来。前も言ったけど、一緒に暮らさないか?」
「…」
私の母親は、私が幼い頃に病気で亡くなった。
男手1つで私たちを育ててくれた父親。