貧乏お嬢様と執事君!
人生はユーモアだ、と断言する彼は少し変わっていた。
一度家を無断で抜け出しダンボールでくるまっていたところを公園で発見された。
息子、鷹司 輝樹はひどく汗をかきながら父に問いただした。
「父さん!なんでかってに出ていくんだよ!ヨーロッパとかに旅行ならまだしも………こんなところで!」
「ん?いやぁホームレスとはどんなものかと思ってな」
享一郎は高らかに笑った。
彼は貧乏人になぜか熱い興味を持ち、年が過ぎて行くたびにこうしてみたいのだという。
輝樹は情けない思いを寒い一月の空気に吐き出した。