貧乏お嬢様と執事君!


「まぁそう嫌うなよ」


レンは手元のグラスの曇りを指で払った。


カイトは思案に陥った。


この男はどうにもつかめない。


飄々としていて捕えどころが全くなかった。真意を探ろうと手を伸ばすが煙草の煙で巻かされてしまう。スモークのような男だった。


由姫華の執事のくせに、あまり彼女に尽くそうとしないのも気になる。


どこか由姫華を動き感情を持つ人形のような目で見ている気がする。


彼女は今、正常な精神ではないはずだ。なぜそんなにも自分を求めるのかはさっぱり分からないが、あそこまで必死になるのは普通ではない。


それを喜劇でも見るように唇の端をゆがめてみている見物人のよう。


第3者というポジションに位置し、鷹司側にも由姫華側にも立ち入らず悠々と成り行きを見守っているようだ。


この男、侮れないかもしれない。


カイトは直感的にそう思った。


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