貧乏お嬢様と執事君!
校門の前では鷹司と椿野が二人並んで話をしていた。
椿野がカイトに気付き、大きく手を振る。
ここにいるよという合図だろう。
分っています、と苦笑しながらそばによる。
他のお嬢様の視線を大量に浴びながら、カイトは鷹司の前で深々とお辞儀した。
「ただいまお迎えにまいりました」
「今日は少し遅かったのね」
答えたのは椿野だった。
巻き毛を横に払いながら、カイトを眺める。
椿野は名も高き「椿野コンポレーション」の令嬢だ。
なぜそんな令嬢が鷹司と仲良くしてくれてるのかは不明だが、カイトとしては喜ばしい限りである。
仲のいいお友達は多いほうがいいですしね。