貧乏お嬢様と執事君!
「申し訳ございません。ちょっと内職に夢中になり」
「あー………わざわざ迎えに来なくていいのよ?私の家のベンツで送っていくってのに」
墓穴を掘りかけたカイトの言葉を奪い、椿野は別の話題を吹っ掛けた。
この執事とお嬢様は天然らしく、たまに危ない発言をする。
危ない発言とはもちろんのこと貧乏発言のことに違いはない。
カイトは言葉を遮られたことに不快を感じぬまま顔をあげた。
「いえ。これも私、執事の仕事なのですから」
「わたしも歩くほうが楽しいからね~」
何も言わなかった鷹司は笑顔で口をはさんだ。
椿野はそんな二人を交互に見比べ、やがて溜息を吐いた。