貧乏お嬢様と執事君!
「………駄目かぁ」
運命をたどった一人の少年、井筒は肩を落とした。
成金息子は金髪に染めたウェーブをイライラしながらかきむしった。
「くそ!僕の鷹司さんへの熱い思いをあの巻き毛の女、踏みにじりやがって………」
どうやら彼の手紙は椿野に外れの宝くずのように破られたものだったようだ。
「鷹司さんも鷹司さんだ!優しすぎるのもいけないことだな。友人の奇行に乗り合わせる器量を持ち合わせているところも素敵だが」
結構喜んでいた思い人の姿を勝手に書き換え、井筒は両手に力を込めた。
「やはり普通の方法じゃだめか。他の野郎と同じでは印象に残ってもらえない。だったらアブノーマルの方法でいくのみだ。くははは!」
井筒は大口を開けて馬鹿笑いした。
そばを通り過ぎようとした女子生徒が憐れみの視線をかけて通って行ったことを彼は知らない。