初恋プーサン*甘いね、唇


彼の歩いた場所を時間差で辿り、見た景色を同じ角度で眺めるという制服姿の奇行。


もしかすると、はたからストーカーだと思われていたかもしれない。


だけど、そうじゃない。


私がストーカーなら、ヒヨコもそうなる。


でもヒヨコは違う。


だから私も違う。


――多分。


なんて、強引な理屈と「他に何も望みません」という、相手を重くさせない上手な信号を控えめに発しながら、後ろ姿をいつも見つめていた。


彼も迷惑がらなかったし、さしあたって誰にも迷惑をかけていなかったから、これは立派な片想いの範疇だったと思う。


行動規範は自分なりに守っていたし。

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