LOVELY☆ドロップ

待つことを嫌う短気な慶介が何も知らない子供に最初から辛抱強く教えるなんてことができるはずないことは、少し考えたらわかったはずなのに!!


ああ、本当にあたしってバカだ……。


畳に頭を擦りつけて謝るあたしの目には、まだ膨らんでいない自分のお腹が見えた。

すると、目頭が熱くなって、目が潤む。




「おねいちゃん?」

あたしの異変に気がついたのか、女の子はあたしの顔を覗いてくる。


たぶん、女の子はあたしの頬に涙が伝っていたのが見えたんだろう。微かだけれど、ごくりと息を飲む音が聞こえた。


――その時だ。

女の子のほっそりとした両腕があたしの肩に回った。

そうかと思えば、今度は土下座するあたしと男の人の間に立った。


「パパ!! パパなにしてるの!? レディーをなかせるなんて、さいてい!!」

女の子の、男の人に向けた大きな声が静かな部屋を包んだ。




違う……。

違うの。


あたしが悪いの……。


上京してきたのも――。


慶介の口車に乗って恋人になったのも――。

愛されていると自惚(ウヌボ)れて赤ちゃんができてしまったのも――。


全部あたしが悪い。


「あ、す、すまない祈(イノリ)。……そうだな。いや、違う。えっと、ぼくなら謝ってもらわなくても大丈夫だから」

男の人はあたしの背中に手を乗せ、しどろもどろになりながらそう言った。

どうやら、この家では女の子が絶対権を持っているらしい。


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