短編集~The Lovers WITHOUT Love Words~
私の『理想の人』が、ある日突然現れたのだ。
私よりも、背の高い人。
そして知的で、スマートで、洗練された人。
おまけにその人が口にするユーモアは彼よりも数段面白かった。
その人を見た瞬間、私は彼と早々と結婚したことを後悔した。
なんで鼻くそなんかと結婚したんだろう?
罪悪感を後悔の感情にカムフラージュさせて、私はこの恋に身を投じた。
甘く、とろけるような時間。
これこそ、私が求めていた理想の関係。
…そう思ったのはつかの間だった。
体を重ねた高揚感が冷めていくと、後に残ったのは気だるい罪悪感。
そして、私のしたことに気づき、ひどく傷ついた彼だけだった。