短編集~The Lovers WITHOUT Love Words~

切れるように鋭い突風が、繭の体を通り抜けていく。
清冽な冷たさが心地よく感じる。

涙が出てきたけれど、それは悲しいからじゃない。

「繭、強くなったな」

心の中の大地が、そう言って流した涙のように思えた。


さぁ、大地の隣へ。

繭は大きく息を吸い込むと、一歩、前へ踏み出した。



(『私、もう行くね』:完)



*追記*

この作品は
全ての「大地」に。
ありがとう、
私はあなた達を
決して忘れません──


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