短編集~The Lovers WITHOUT Love Words~
「お前、着替えの一つくらい持って出ろよ」
呆れたように雪音の格好を見下ろす恵一。
雪音の黒くて長い修道服は、秋葉原が遠くなるにつれ人目を引いた。
「着替えって言っても、全部これだもん」
ふくれっ面をする雪音。
確かに、修道服の着替えを何枚持っていたとしても結果は同じだろう。
「降りるよ」
恵一がふいに立ち上がる。
「はい・・・で、次はどこに行くの?」
「家電は秋葉原、洋服は―――」
恵一はその長い人差し指で、駅の表示を指差した。
「銀座だ」
…意外とステレオタイプな男である。