ラブ&トラップ
店長が注文して店員さんがフルートグラスに注いでくれたのは、淡い赤の液体。


しゅわしゅわと絶え間なく浮き上がって消えていく気泡と一緒に甘い香りが漂う。


「いちご?」


「よくわかったな。まだそんなに酔ってなかったのか。」


またバカにされた。


この人は本当に一言一言がイラっとくる。


「シャンパンとスパークリングワインって聞くと、シャンパンのが飲みやすそうなイメージだけど、物は一緒。シャンパーニュ地方で作ってるものだけがシャンパンって呼べるんだ。」


「へぇ、知らなかった。店長ってお酒好きなんですね。」


確か店長って20代後半だったし、そりゃお酒だって飲み慣れてるよね。


「たまに飲みたくなるぐらい。さほど強くもないし、詳しくもないよ。」


「店長くらいの年齢はやっぱりお酒の付き合いとか増えるんでしょうね。」


大人の男性なんだなぁって実感するもん。

「俺ぐらいの年齢って。おまえ俺の歳知ってんの?」


「いえ、知らないです。25歳の瀬名さんより年上なのは知ってますよ。」
< 117 / 243 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop