911の恋迷路

 
 (しっかりしてよ!)


 果歩は膝をギュッと手のひらで押して、鼻水が出るのをガマンした。


 (このまんまじゃ、あたし、この弟の前でブサイクを晒すことになる)


 

 年下の男性、しかも陵の弟にカッコ悪いところは見せたくなかった。

 

 「すんません…」


 声は違うけど、陵と同じ懐かしい謝り方に、果歩の顔が再び洪水状態になる。


 果歩の顔の洪水が収まるまで、2人は黙って向かい合うしかなかった。


 果歩が泣き止むまで、慎はじっと待ってくれていた。

 
 そのとき携帯のメールの着信音がふたりの間に鳴り響いた。

 「ドリカム」

 ボソッと呟く慎。

 「あ、ごめんなさい。メール来たみたい」

 果歩は思わずジーンズのポケットを押さえた。

 (さっき店に入ったとき、バイブにしとけば良かった)

 

 「見なくていいんですか」
 
 慎が催促する。

 「あ、メール見てもよい?」
 
 「どうぞ」


 メールは隼人からだった。

 はやと。

 
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