マスカレード【仮面de企画】
「わたし一人娘だからお婿さんを貰わなきゃならないの」


暗闇の中、俺は頭をのけ反らせて笑った。


「おい、俺は五人兄弟の三男坊だぞ。いくらでも婿に行ってやるよ。家族もホッとするだろうさ」

「本当? 嬉しい」


美幸は俺の首に抱きついた。

花の香りがする。


やっとこいつを取り戻せた


俺は安心して美幸を抱きしめた。


「ねえ、さっきの女の人の事だけど。人間じゃないよね?」

「ああ。俺が思うに、あれは竜城(たつき)神社の龍神の妹姫だよ。道理で一度にあれだけの龍道が現れたはずだ」

「どうしてこんな所に来たんだろ……」

「さあな。仮面パーティーを楽しみたかったんじゃないのか?」


俺は美幸の頬に手をやった。


「しゃべり過ぎだ。少し黙ってろ」

俺は美幸の口元で囁き、そのままキスをした。


ゆっくりと

魅惑の夜を約束するキスを





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