スピリット・オヴ・サマー
 次第に沈黙が重くなった。
「おらも、確かに色々教えできた。だども、所詮は『中学生』の意識の集合体だァ。大人の割り切りは、出来ねぇでしまった…。おまけに、憲治さんの心ん中に深入りしたもんだがら、こんた姿で、そのせいで、おらぁ、憲治さんのごど、ここまで本気にさせで、現実に帰りづらぐさせでしまったァ…。」
 小さくなる憧子の声。そして「ごめん」といったきり、憧子は何も言わなくなってしまった。しゅわしゅわと、炭酸のささやきが妙に耳に刺さる。
 分かっていたはずだ。憲治は自分に問いかけた。
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