スピリット・オヴ・サマー
 憧子は腰をひねる感じで横を向き、右手で、襲いかかろうとする憲治から自分をかばっている。今までになく哀れな姿を憲治の前にさらす憧子。
「何で、何でだよ…、何で、俺なんかが生きてんのに、何で、何で…、」
 力なく、ぺちぺちと自分の膝をたたきながら、憲治はうめいた。
 まったく持ってやりきれない思いでいっぱいだった。今までいい加減に生き続けた自分ではなく、そんな自分に裏切られ、それでもなお夢を追ってはばたこうとしている聖菜が命を削られていることが、どうにもやるせない。
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