スピリット・オヴ・サマー
ここが住処だった頃の憲治には、この土地で暮らすことが苦痛だった。何も刺激がないのだ。だからほとんどまぐれで受かった様な都会の大学に進むことには、何一つ抵抗がなかった。それどころか、渡りに船、ですらあった。だが、大学に進んだところで、憲治自身に何か目的があったわけでもない。
漠然とではあったが「夢」がなかったとは言わない。とにかく、飛行機が好きだった。それに関われれば、何をやっても生きていけそうに思えた。問題は、その「夢」をどうやってカタチにするべきなのか、憲治少年には見当も着かなかったこと、それだけだった。そして致命的だった。
漠然とではあったが「夢」がなかったとは言わない。とにかく、飛行機が好きだった。それに関われれば、何をやっても生きていけそうに思えた。問題は、その「夢」をどうやってカタチにするべきなのか、憲治少年には見当も着かなかったこと、それだけだった。そして致命的だった。