森林浴―或る弟の手記―




そして、お茶菓子や紅茶、そして振る舞うであろう夕食にも、かなり気を配りました。


妊婦であることを考慮し、幸乃や使用人からアドバイスを受け、なるべく匂いがきつくなく、さっぱりとしていて、でも栄養のあるもの。


そういったものを食卓に並べる準備も整いました。


準備万端。


まさにそういった様子で、修介の恋人を迎え入れるつもりでいました。


修介は彼女を迎えにいく、と言って屋敷を出ました。


それから、修介が戻るまでの時間はあまりに長く感じました。


「修介の時にそんなことで、正世ちゃんの時はどうなってしまうのかしら」


その時の私には、そんな佐保里姉さんのからかいに答える余裕もありませんでした。


もう結婚の許可もしているし、何をするわけではないのですが、ただただ緊張しておりました。



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