森林浴―或る弟の手記―




人生初の大事。


その日、私はそんなふうに思っていました。


実際、自分の結婚より緊張していた程です。


幸乃との結婚は、嘉一さんの死や、佐保里姉さんの出産と重なり、式も挙げず、入籍だけでした。


そして、それより以前から同棲もしていましたし、殊更大事には感じていなかったので。


なので、その日の私は、いつになく落ち着きがなく、大人しく座っていることさえ出来なかったのです。




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